飽き性の頭の中
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思考メモ

電車で座り込んだおじさんは変なおじさんではなかった?|身勝手で一方的な見方を反省した話

2016-06-07

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ある朝、満員電車の憂鬱で

平日の朝。いつもとおり少し寝坊し、憂鬱な満員電車に駆け込もうとする。

乗り込もうとした車両には人が少なく、「今日はラッキー!」と思いながら、車両に足を踏み入れました。

すると、そこにはなぜか混みあう車内に座り込む1人のおじさんがいました。ラッシュアワーにそんなことをやってのける異常さとほのかに漂う匂いから、他の乗客は警戒し距離をとっていて、かなり不自然な空間がおじさんの周りにはでき上がっていました

そんな状況に偶然乗り合わせた僕は、おじさんとは反対側の扉の横によっかかり陣取ることにしました。

とはいうものの大して気にも止めずにいつもと変わらず、Kindle を取り出して読書を始めました。

そのとき突然、おじさんが周りに対して、

「スマホばっかいじり上がって、やるならほかでやれよ」

と怒鳴り散らし始めました。サラリーマンが電車でゲームばかりやって他にやることはないものかと疑問に思うことは僕もあるけれど、このご時世電車でスマホをいじらない人のほうが珍しいし、何を言っているのか疑問であったし少し不快に感じていました

そのまま放っておくと何か危険な行動に出るのではないか、と懸念しつつも僕のいじっているものはスマホではない(このおじさんがそう認識しているかは別にして)ので、そのまま読書を続けました。

電車は動き、停車する度に少しずつ人が乗り込んできます。そして乗り込んでくる乗客はみな、驚いた顔や汚物を見たような顔を一瞬見せて、そのままさりげなく少し離れたところで足を止めていきます。中には次の駅で車両を変える人もチラホラと見受けられました。

そこまで露骨に表に出さなくてもいいじゃないかと思いつつも、僕自身もこのおじさんに異常さを覚え幾分かの嫌悪感を覚えていました。まして、これから仕事に赴くという喜べないことのためにこんな満員電車に揺られている最中、少しでも面倒なことはあってほしくはないと願うのでありました。

しかし、事の見え方が 180 度変わる

しばらく乗客のよう相を眺めつつ読書をしていたところ、その小汚く見えるおじさんが電車を降りようとしました。

そして、そのときはじめて気付いたのです。そのおじさんは足が不自由だったようです。一応1人で歩くことはできるようですが、俊敏に動くことはできません。

ですが、ここは朝の満員電車です。降り損なわないように我先にと出て行く乗客と、少しでもいいポジションを確保しようと我先に乗り込んでくる乗客で錯綜する戦場です。さらに電車の発射の合図がそれに追い打ちをかけます。そんな中で降車側と反対に位置していたおじさんは降りることができませんでした。

諦めて次の駅で降りることにしたようです。次は逃さないように、足が不自由で不安定ながらもなんとか立って待っていました。

次の駅に停車した時、満を持して降りようとしました。しかし、やはり満員電車の朝です。相も変わらず我先にと動くサラリーマンでいっぱいです。降りる人たちが降りきってもまだおじさんは降りられませんでした。そして、ついに我先にと乗り込むサラリーマンの群衆が押し寄せてきました。そしてその中の1人がこの降りようとしているおじさんにぶつかったのです。

そのときこのおじさんが突然、

「こっちが降りるのを待てよ」

と怒鳴りました。降りる側の人間はともかく、乗り込んでくる側としては気付かないのも仕方ないとも思いました。

しかしこのとき、このおじさんに対する印象が 180 度変わりました。

おじさんにとって相当程度生きづらい環境だったのでは

足が不自由であることも知らなかった最初、僕はこのおじさんを変な人だと思っていました。地面に座り込んでコンビニでたむろしてしまう若者くらい不快だと思っていました。

しかし、足が不自由だということを鑑みると、どうしてそもそも床に座り込まなければならなかったのでしょう。

足の不自由な人を見て席を譲らなかった人たちが悪いと思うかもしれません。

ですが、僕は必ずしもそうは思いません。サラリーマンの人たちも毎日働き詰めて疲弊して、これからまた憂鬱な1日が始まるという朝に、なんとか奇跡的に勝ち得た座席を安々と差し出さないなんて非人道的だなんていう気はありません。ですが、少なくとも足の不自由なこのおじさんにとって電車に乗るという行為は人一倍苦労する行為だということです。

それでも我慢できるかもしれません。誰かが助けてくれなくても、自分がなんとかしなければならないと思えるのかもしれません。席を譲ってくれるなどといった直接的な手助けがなくてもよいかもしれません。

しかし、この電車での状況では、直接的な手助けがないばかりか、間接的な手助けもありませんでした。つまり、このおじさんが時間をかけて降りることを待って見守ることすらできなかったのです。

こんな扱いを常日頃から受けていたら、一体あなたならどういった行動に出るでしょうか。電車では座らないといったマナーを守ろうと思うでしょうか。赤の他人にいらだちを感じて怒鳴らないでいられるでしょうか。異常に見えたおじさんを異常足らしめているのは、実は正常ぶっている私たちの側だったのではないでしょうか。

ものの見え方が 180 度変わった、ある日の朝の出来事でした。

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