読書メモ「HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか」ベン・ホロウィッツ
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「HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか」という本を読んだときのメモです。
感想
- こういう話を見れば見るほど高々 1 現場にいる人間には責任がないんだなという気がしてくる。
- 全部管理側のせい。下を使いこなせないこともだいぶ悪い。これが経営者目線ってやつか(?)
著者、ベン・ホロウィッツについて
- ネットスケープなどを経て、クラウド企業のラウドクラウド社やオプスウェアの CEO を務めた
- そのときの話が書いてある
- その後、アンドリーセン・ホロウィッツをマーク・アンドリーセンと共同創業
- シリコンバレーで一番注目されるベンチャーキャピタル
- マーク・アンドリーセンはブラウザを発明した天才
メモ
CEO の心構え
スタートアップの CEO は確率を考えてはいけない
- 会社の運営では、答えがあると信じる必要がある
- 答えが見つかる確率を考えてはいけない
- とにかく見つけるしかない。可能性が 10 に 9 つであろうと 1000 にひとつであろうと、する仕事は変わらない
過去ではなく常に現在のために時間を使う
- 自分の惨めさを念入りに説明するために使うすべての心的エネルギーは、CEO が今の惨状から抜け出すため、一見不可能な方法を探すために使うほうがはるかに得策だ
- やればよかったと思うことには一切時間を使わず、すべての時間をこれからきみがするかもしれないことに集中しろ
- 結局は、誰も気にしないんだから。CEO はひたすら会社を経営するしかない
CEO は経験するしかない
- CEO になるためのトレーニングが存在しない
- CEO のトレーニングは実際に CEO になる以外にない
- マネジャー、ディレクター、その他なんであれ管理職の経験は会社運営という職務には役に立たない
- 役立つ唯一の経験は、会社を経営すること
- どんなスキルが必要とされるのかも、そのスキルを自分が持っているかどうかも事前にはわからない。しかし誰もが CEO はそれができると期待される ── なぜなら CEO だからだ。
優れた CEO は【投げ出さない】
- 優れた CEO は苦痛に耐えねばならない
- 眠れない夜と冷や汗
- 私の友達のアルフレッド・チュアン(BEA システムズの共同創業者、CEO である伝説的起業家)はこれを「拷問」と呼んだ
- 眠れない夜と冷や汗
- どうやって CEO は成功したのか
- 凡庸な CEO は、優れた戦略的着眼やビジネスセンスなど、自己満足的な理由を挙げる
- 偉大な CEO たちは異口同音に「私は投げ出さなかった」と答える
【ワン型】と【ツー型】
- 組織を運営するには 2 種類の本質的に重要なスキルが求められる
- 【ワン型】###### 何をすべきかを知る
- ビジョナリー、思索に時間を使う
- 決断力がある
- 【ツー型】###### なすべきことを実際に会社に実行させる
- 能率的に運営できる
- 大きな決断をワン型より怖がる傾向がある
- 【ワン型】###### 何をすべきかを知る
- 両方求められるので、ワン型の CEO の下にはツー型がいることが多い
- CEO の後継を決めるとすると順当にナンバー 2 を選ぶとツー型になるが、
- さらにしたからワン型を探して CEO に据えたほうがいいこともある
リーダーシップが求められる
- 人々がリーダーに従いたくなる要因
- ビジョンをいきいきと描写できる能力
- 正しい野心
- ビジョンを現実化する能力
企業にとってのストーリー
- 目の前の目標以上の意義をストーリーとして描ける必要がある
- それが、社員が「この会社で働くべき理由」、顧客が「この製品を買うべき理由」、投資家が「投資すべき理由」になっていく
平時の CEO と戦時の CEO
- ぜんぜん違うもの
- 一方のときは有能な CEP も他方では無能になることも
何でも知っている必要がある
- 人事、財務、製品戦略、目標設定、マーケティング、その他企業活動のあらゆる側面
- マクロのレベルでは正しい企業戦略を建てる必要がある
- さらにその実施にあたって生じるあらゆる影響を考慮していく必要がある
- 詳細は知らなくてもいいが、全範囲を知る必要がある
組織のマネジメント
人が会社を辞める主要な理由には次の 2 つ
- マネジャーが嫌い
- 一般に社員は、自分が受けた指導、キャリア開発、そしてフィードバックのなさに愛想をつかしている
- 何も教えられていない
- 社員が新たなスキルを身につけるため、会社は投資していなかった
マネージャーはあくまで管理に徹する
- 一員として個別の関心のために走り回ったりはしない
- 何をするかだけ定義してどうやるかは現場に任せる
ホワイトボックス化することで全体最適を実現
- 組織をブラックボックスのように扱った結果、HP のいくつかの部門は将来の競争力を犠牲にして現在に最適化
- 会社にとって良くない方法で短期目標を達成したマネジャーたちに、褒賞を与えた
- ホワイトボックス・テストでは、数字だけでなく、組織がどうやってその数字を生み出したかにも注目
- 短期のために将来を犠牲にするマネジャーにはペナルティが科され、将来に投資するマネジャーは、たとえ測定が困難な投資であっても報われる
定量的な指標だけで評価すると競争優位性を育てることなく(食いつぶしながら)目先の数字を伸ばしてしまう 将来に必要なことを捉えるために定性的な目標も必要
→ 何かを測定すれば、社員はそれに応じて何らかの行動を起こすことを認識しておく必要がある
- 自分が望む結果を決めたなら、その結果が生み出すであろう社員の行動に照らし合わせて内容を検証
- さもなければ、社員による副次的な行動は、あなたが修正しようとしていた状況以上に悪い結果を招くかもしれない
経営的負債
- 技術的負債と同じく、経営的負債は、一時しのぎの短期的な経営判断が、高くつく長期的災いを招く
- 技術的負債と同じく、トレードオフは時として理にかなっているが、多くの場合そうではない
- 予期しないまま経営的負債を生じさせた場合、最終的に経営破綻を起こす
- 経営的負債とは
- ひとつの役職に 2 人を据える
- 責任の所在が不明確になる
- 意思決定のスピードが下がる
- 重要な社員が引き抜かれそうなので不相応な報酬を与える
- 他の社員との不釣り合いが問題になる
- 社員が努力ではなく駆け引きにより自分の給料をあげようとする
- 会社のためにならないところで時間を使ってしまう
- 実績管理も従業員のフィードバックのプロセスもない
- 向くべき方向に向いていることが保証できなくなるのでムダな動きが増えてしまう
- ひとつの役職に 2 人を据える
事業継続に必須な要素
正しい野心
優秀な社員のモチベーションを高める要素としてはスリリングな使命以上のものはない
- そういう使命はあらゆる個人的インセンティブを脇に押しやってしまう
- だから「正しい野心」を持った幹部は「間違った野心」を持った同僚とは比べ物にならないくらい価値がある
- 管理職が自分のキャリアを会社の成功より上位に置くのを見れば、部下は「どうして長時間残業してまでボスのキャリアの成功を助けねばならないのだ?」と考えるようになる
「ダメ社員の法則」の回避
「大組織においては、どの職階においても社員の能力はその職階の最低の能力の社員の能力に収斂する」
- 階層における最下位と同程度になればその階層に上がれると下は考える
- 結果としてその再開程度の人でその階層が占められることになる
- 昇進を現在のメンバーの能力にするのではなく、要件と手続きを明確に定めることでこの現象を緩和
肩書と昇進のシステム
- 慎重にデザインされ、厳密に運営される肩書と昇進のシステムがなければ、必ず社員の間に不公平感が蔓延する
- 職組織と昇進手続きがきちんと整備されていれば、多くの社員が無用な不満を抱かずに済む
個人面談
- 個人面談を効果的にする鍵は、その主人公は上司ではなく部下である社員だということを理解するところ
- ほとんどは部下(90%ほど)の側に話させる必要がある
- 上から下に情報を伝えることではなく部下を理解することが目的
- 個人面談は緊急性の高い課題についての報告だけでなく、社員が日頃抱いている不満、目にしてはいるが正式の報告書には書きにくい問題点、温めている有望なアイデア、メールシステムへの不満、個人的な悩みなど、ありとあらゆる問題を拾い上げることができるほとんど###### 唯一のチャネルだ
企業文化
- テクノロジー系スタートアップの目標
- 現在普及している方法より最低でも 10 倍効率的な製品を生み出すこと
- 2 倍や 3 倍よいくらいでは、既存製品から十分な数のユーザーを十分なスピードで乗り換えさせることはできない。
- 目指す市場を制圧すること
- 何かを 10 倍効率的に成し遂げる方法を発見したとしても、同時に同じことを考えついたライバルが存在する可能性はある
- だからライバルが市場を制圧する前に、自分が制圧しなければならない
- 現在普及している方法より最低でも 10 倍効率的な製品を生み出すこと
- 企業文化が重要な理由
- テクトロジー系スタートアップの2つ目標の達成を助けるために一定の効果ある
- 企業が成長するにしたがって、企業文化は「働くのに楽しい場所」という根本的な価値を維持するのに大きな役割を果たすようになる。長期的な観点からこれは大きな意味がある
- 創業者たちが非人間的なほどに、がむしゃらに働いて会社を成功させたあとで、その会社が働いて楽しい職場でなくなっていたと気づくとしたら、そんな悲しいことはない
組織デザイン
- 最初は人数が少ないので全員がなんでも屋
- しかし一定の規模に達しスケールしていくと、専門化が必要になってくる
- そのときに組織をデザインしていくことが必要
- 組織デザインで重要なことは、すべての組織デザインは悪いということ
- 線を引くということはある部分のコミュニケーションを犠牲にして、他の部分のコミュニケーションを改善することだから
- 優先度を見て組織デザインをし、劣後にされたコミュニケーションパスの対策をするなどしないといけない