情報処理安全確保支援士に3ヶ月で合格した勉強法|試験対策本より興味のある本を読む
この記事について
2025年春期の情報処理安全確保支援士試験に合格した。勉強期間は2024年末からの約3ヶ月。試験対策本を通読するのは早々に挫折して、代わりに興味のあるサイバーセキュリティの本を乱読するという方針で進めた。
結果は次のとおりだった。
| 試験区分 | 得点 | 基準点 |
|---|---|---|
| 午前I | 74.80点 | 60点 |
| 午前II | 96.00点 | 60点 |
| 午後 | 85点 | 60点 |

効率よく合格することを目指した勉強法ではないので、最短ルートを探している人にどこまで参考になるかはわからない。ただ、試験対策本が続かないタイプでもこういうやり方で受かったという記録として、経緯と学んだことを書いておきたい。
受験の経緯
サイバーセキュリティの重要性が最近よくいわれているし、ソフトウェアエンジニアとして働く上でももう少し詳しくなりたいという思いがあった。どうせ学ぶなら何か形に残る方がよいだろうということで、わかりやすく国家資格であるこの試験を選んだ。
情報セキュリティ関連の職種への転職も少し頭をよぎったが、基本的には趣味の範囲で勉強してみたという位置づけである。
学習方針:試験対策本は挫折、興味のある本を読む方針へ
最初は普通に試験対策をするつもりで、情報処理教科書 情報処理安全確保支援士という定番の教科書を買って通読しようとした。しかし、知識が羅列されているものを順番に読んでいくのはあまり面白くなく、モチベーションが続かなかった。
そもそも自分の目的は、資格を取ること自体というよりは、サイバーセキュリティとはどういう考え方なのか、どんな議論があるのか、従事している人はどういうマインドで何を気にして働いているのか、といった背景を知ることだった。
そこで方針を変えて、「昨今こういう問題があって、こういう対応が必要になっている」という文脈が分かる本を、興味の赴くままに読んでいくことにした。読んでいてわからなかったことは、さらに別の本で確かめる。試験対策としては遠回りに見えるが、自分にはこの方が圧倒的に続けやすかった。
おおまかなスケジュールは次のような流れだった。
- 2024年末〜2025年1月: サイバーセキュリティ関連の面白そうな本を片っ端から買って乱読
- 2025年2月〜3月前半: アプリで午前IIの一問一答を開始、重点対策本の通読も並行
- 2025年3月: 興味のあるテーマ(TCP/IPなど)の深掘りを継続しつつ、午前I対策を開始
- 2025年3月後半〜4月: 過去問演習と試験対策書での最終調整
試験区分別の対策と当日の実際

対策のやり方も当日の感触も試験区分ごとにかなり性格が違ったので、区分別にまとめる。
午前I:最大の難所
事前の情報収集でも当日の実感でも、午前Iがもっとも厄介だった。
試験まで残り1ヶ月を切ったあたりで「午前Iで多くの受験者が落ちる」という話を目にして、詳しく調べてみると確かに対策が必要そうだった。2年前に応用情報技術者試験に合格していたので油断していたが、午前Iには次のような特徴がある。
- 応用情報並みの広い出題範囲が少ない問題数に圧縮されており、運に左右されやすい
- 応用情報と異なり過去問の再出題が少なく、「見たことがある問題」で点数を稼ぎにくい
応用情報の知識だけでは足元を掬われかねないと理解し、応用情報の復習を並行して始めた。専門書を読む気が起きない時や合間の時間にアプリを使って、基本的な内容の思い出しから、当時学習していなかった分野の補強までひととおり進めた。
当日も実際に一番苦しかった。計算問題があるため一問一問に時間がかかり、時間はギリギリ。「この用語を説明しているものはどれか」と「この記述はどの用語を説明しているか」のように表現の向きが変わる出題もあり、単純な暗記では対応しづらい。細かいひっかけや微妙な表現の違いに時間を取られ、結果的に一番点数が低かった(74.80点)。
午前Iで落ちる人が多いという話にも納得の内容だった。応用情報などに合格して免除期間がある人は、そのうちに受験するのがよいと思う1。
午前II:アプリの一問一答で十分だった
2月頃から「SC完全攻略」というアプリで、セキュリティ専門知識の一問一答をポチポチやっていた。最初から6割程度は雰囲気で取れていたので基礎的な理解はできていたようだが、継続するうちに試験問題に見覚えが出てきて、各分野で7〜9割程度の正答率になった。
当日は知識があれば即判断できる問題が中心で、10分ちょっとで全問解き終わった。見直しの時間も十分にあり、気楽な試験という印象だった。結果も96.00点と、対策した甲斐があった。
午後:基礎理解と論理的な読み解きで勝負
対策としてはまず重点対策本を通読した。問題を解くというよりは、「こういう問題があるのか」「こういう観点があるのか」と眺める読み方である。3月後半からは付属の過去問を1問ずつ、解答を書き込みながら理解を深める形で解き始めた。時間内に終わるかはあまり気にせず、答えを導く発想や考え方を理解することを重視した。
最後の1週間は、朝の仕事前の時間を使ってカフェで過去問に取り組んだ。2時間半を通しで解くのは疲れるので、1問を1時間程度で区切って最後まで解答するやり方にした。朝の限られた時間でも現実的に取り組める単位として、このくらいがちょうどよかった。仕上げには村山さんの受かる情報処理安全確保支援士 問題集も使い、試験特有の解答テクニックを確認した。基礎的な理解がある前提で効率的な解答方法を学ぶという使い方であれば有用だと思う。
当日は「1時間〜1時間半で終わるだろう」と楽観していたが、フルで時間を使い切った。SBOMや脆弱性管理が中心の出題で、前日の午前II対策で見たばかりの内容もあり「なんとなく分かる」状態で臨めたものの、実務的な深い理解が伴っているわけではないので確信は持てない。設問は1問の中で複数のシチュエーションが展開されるブロック形式で、最初のブロックを理解しても次のブロックでは設定が一変する。状況を読み解く思考負荷が高く、時間の消費が激しかった。
心がけたのは、「解答に必要な情報は問題文に含まれている」という前提で、そこから論理的に導き出せることを中心に記述すること。知識問題は思うようにいかなかったが、記述問題では要点を押さえられていたようで、85点と思っていたよりよい結果だった。
読んだ本

(※買った本の一部。電子で購入したものは別にある。)
入門書
サイバーセキュリティの基本概念と全体像を把握するために読んだ。どの分野にどんな要素があるのか、全体のフレームワークを理解するのに役立った。基礎的な分野の理解を深めることで、専門書を読む際の土台作りにもなった。
専門書
現代的な脅威や実務上の論点を具体的に理解するために読んだ。航空会社がサービス停止に追い込まれた事例など、実際に起きている問題を知ると、あまり目を向けていないだけで自分や社会に関係のある喫緊の問題なのだと感じられた。「確かにこれをやられたらひとたまりもないな」「日頃気をつけないとな」と身近な問題として考えられるのが面白いし、社会の裏側を見ている感じも面白かった。
ホワイトハッカー・ペネトレーションテスト関連
レッドチームの方が面白そうな気がしたので、少し範囲を広げて読んでみた。攻撃者の目線でどう見えるのかを知ると、実際にそういう人たちが世の中にいて、日々攻撃にさらされているという現実を改めて認識することになった。リアリティがあって必要性を実感できる、刺激のある読書だった。
セキュリティ関連教養書
サイバーセキュリティの社会的意義と実務者のマインドを理解するために読んだ。今のサイバーセキュリティの重要性や文脈がつかめると、より興味や意義が見えてよかった。
技術分野
デジタルフォレンジックは法の分野にも関わりが深く、修士でやった社会科学寄りの専門知にも近いのだなと気になって手に取った。
TCP/IPの通信の仕組みや各レイヤーのプロトコルについて、改めて技術的な詳細を確認するために読んだ。
試験対策書
試験の形式理解と最終調整のために使った。
振り返り:この勉強法が向いている人
試験対策に特化するより、興味のある本を読んで基礎的な考え方を理解することに時間を使ったのは、自分にとってはよい選択だった。自己採点はしておらず当時何を書いたかあまり覚えていないが、明確に知識が足りなかった問題以外は、大きく的を外した解答はしていなかったのだと思う。
この勉強法が向いているのは、興味重視で学習を進めたい人や、試験合格よりも基礎理解を大事にしたい人だと思う。興味が続けば学習自体も持続しやすいので、急がば回れで、結果的にこちらの方が早く合格につながる場合もある気がする。逆に、興味の有無にかかわらず体系的に学習を進められる人や、試験テクニックで効率よく突破したい人には、素直に試験対策中心のやり方が向いているだろう。
試験全体としては、午前IIと午後は「やれば何とかなる」印象で、午後は当日の集中力次第でリカバリーも効く。一番の関門はやはり午前Iだった。
まとめ
今回の学習で、サイバーセキュリティの考え方や実務のマインドがなんとなく掴めた気がする。特にペネトレーションテスト関連は面白そうだったので、引き続き興味のある分野は深掘りしていきたい。
試験対策として効率的なやり方ではなかったと思うが、知識を身につけて実際に活用したいのであれば、興味にしたがって学ぶのは悪くない選択だと思う。なにか一助にでもなれば幸いである。