飽き性の頭の中
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読書メモ「アートの価値 マネー、パワー、ビューティー」マイケル・フィンドレー|ブロックチェーン×アートを考えるために

2020-03-13に公開

こんにちは、たわです。今回は読んだ本のメモをまとめておきます。

https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4568202655/pxbub0309-22/
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読むに至った経緯

  • ブロックチェーン ✕ アートについて考えるために、そもそもアートの価値がどのように決まるのか議論の外観を知りたかった
  • アートの価値にはどのような切り口があるのかを網羅的に把握したかった

本書の内容からのメモ

アートの価値は 3 つに分類されるということらしい

アートの商業的価値

商業的価値とはその次代の嗜好次第

  • 作品に対する需要は何であれ変わる。新たなムーブメントによる流行スタイルの変化などで価値は大きく変わる。

美術品の市場価格の5要素

  • 来歴
    • プロブナンス(貴重品の所有者歴)がセカンダリーマーケットで取引されるようになると発生する
  • 状態
    • コンディションレポート:専門家が作品を実見し結果を詳細に記した報告書
      • 書いた修復家の実績が高いほど重要視
      • 画商やオークションハウスのレポートは簡潔すぎる傾向
      • 美術館との仕事を専門とする修復家のレポートはめまいがするほど内容が緻密になる傾向
      • 個人や画廊とも仕事する修復家のレポートはちょうどいい難しさ?
    • 状態が作品の価格に与える影響は、文化と時代による考え方の違いを反映
      • 修復の大小も時代や作品によって好まれるものが変わる
    • いい方向に状態が価格に与える影響は通常 15-20%、悪い方向には 40%ほどになることも。そもそも売却できないケースも。
  • 真贋
    • 疑わしい作品
      • 本物を真似たコピー
      • 単なる贋作
      • 作家名が間違えられた作品
  • 露出
    • 展覧会への貸出には、社会的価値と商業的価値の両者が関わってくる
      • 観覧できる多くの人に貴重な社会経験の提供(逆に自分が見るという社会経験ができなくなるというのはある)
      • 展覧実績により商業的な価値上昇の期待
  • クオリティ
    • 作品のクオリティは大抵相対的に決まる
      • 人々が触れたことあるもの(=各々の経験)に基づき判断される
    • 目利きのコレクターは、その経験が多くなりより性格に質を見極めることができるようになる
    • 美術市場はクオリティを見極めており、価格とクオリティは密接に関連している

アートの社会的価値

社会的価値は不変

  • 重要な社会的価値:美術館やギャラリー、家や学校、時には職場の壁など、作品を展示したり楽しむための専用の場所があること
  • 固有の特別な目的をもつ場所があることで、複数人の人々がアートを体験するために集い、その結果、必然的にアートの社会的価値が生まれる

自宅にいるのでない限り、自分ひとりでなにかの美術品を見る機会はめったにない。人は社会的な存在であり、アートを見ることで何を得るにしても、お互い同意するかどうかは別として、他人とコミュニケーションすることによってアートを認識する。2〜3 時間潰すために一人で入った知らない街の美術館で、語りかけてくるような素晴らしい作品を目にすることもあるだろう、。記念に写真を撮ったり絵ハガキを買ったりするだろうが、それは体験を誰かと分かち合おうと思うからだ。

上記のような体験・経験を多くの人に提供できるということが、アートの社会的価値(多分)

オークションカタログに載れば、コレクターの社会的イメージは上がる

他の人が列席する場での披露

  • 有名なアーティストの絵を見せびらかせるという社会的見返りを期待したアート支援
  • アーティストが歴史の教科書等に乗れば、お披露目パーティの見出しになるかもしれない(評価にかかわらず)
  • 自宅での披露もある
    • アートの話というか金額の話がだいたい
  • お金持ちでなくても、気に入った作品の収集を楽しむこともできる
  • アートを無料やそれに類する形で公開する
    • 誰にでも開かれている状態を良しとする考え方もある
    • 一般に公開されている美術品を見に行くことは社会経験でもある

アートの本質的価値

本質的価値(=アートの個人的な価値?)が何よりも大事

  • 個人的に純粋に楽しめるアートは人生を充実させることのできる宝物
  • 商業的価値とは無関係でいるほうが楽しみやすい
  • 商業的価値に目がくらみ、金銭的価値とクオリティを混同
  • 作品についての外的な情報(作家、商業的な価値、人気度)や、内在的な情報(公正、象徴的意味)は興味深いものではあるが、私自身にとってはその作品の本質的な意味合いを理解することにはなり得ず、「なるほど」と思う瞬間の要因になることはまずない
  • リラックスすると同時に、よく注意を払い、先入観を捨て、自らの目を信じてアートに集中してこそ、アートを本当に理解して楽しむことができる(ここがいちばん大事な主張、立ち位置っぽい)

その人の文化、教育、経験等の違いによって、「感情的」「精神的」「心理的もしくは「宗教的」なものともとらえることができる、もっとも定義が難しい価値

理解には言語は役に立たない。刺激を受けたり、慰められたり、途方に暮れたり、導かれたり、高揚したり、落ち込んだりといった言葉で表現しきれないさまざまな感情を得ることのほうが肝要

音楽は背景知識を知らずとも楽しめるのに、美術はそうではないのは不思議?

一般的なアートの書物の視点

  • 歴史的視点
    • 制作された時代の文化的背景など
  • 伝記的視点
    • 作者の過去、経歴
  • 比較的視点
    • 特定の時代の作家が共通で支持されたりする。比較の産物。

知覚は情報に勝る

  • 上記のような背景知識なしに、絵をしばらく鑑賞する
  • 最初は何も思わないかもしれないが、次第に感じるものが出てくる
  • 真のコレクターは、彼らに語りかけてくる作品を選び、どこに飾るかなどは二の次
  • 「精神性・印象・感情」を伝えていない作品は、根本的なレベルの役割を果たしていないため、鑑賞に値しない

前提・説明

美術品の所有

財力

  • 美術品を手に入れるのは容易ではない。
  • 希少性の問題と価格の問題

欲求

  • 先天的なものではなく学習によって習得される
  • 文化によって重要性が異なる
    • 中国と西洋は異なる
      • 中国では太古の時代から、芸術と哲学は同等にか考えられていた。同郷や儒教を見れば明白である。芸術はさまざまな伝統的価値を備えており、それは宮廷の龍ウギも、専業主婦の知恵をも含む。これが、西洋文化圏での芸術の役割と決定的に違う点である。アイ・ウェイウェイ(艾未未)
    • ヨーロッパとアメリカも異なる
      • ヨーロッパ:
        • 協会などの団体、もしくは個人単位で 1000 に渡って美術を養護
      • アメリカ:
        • 歴史が相対的に浅い
        • 富裕層の中でも美術品コレクターは圧倒的少数派。一部の人に集まっている。
        • 20 世紀後半の 50 年間、ゆっくり安定したペースでアートコレクターが増加 → コレクターの地位向上

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